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ハルジオン


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ハルジオンなのかヒメジョオンなのか。判然とはしないのだが、ここは勝手にハルジオン。いずれであっても要注意外来種指定。歩道の僅かな隙間にも繁茂して、除草剤が何度撒かれても、暫くしたら、もとどおり。元気に列を作っている。

ヤブカラシ、貧乏草…酷い呼び方があるのを知っている。

しかし、洗濯物を取り入れた夕方近く、傾いた夏の陽射しと翳の中、私には美しく見えた。梅雨明けの声を聞く前に、一度刈り取っているのだが、なんとも逞しい生命力。他の物を駆逐するとんでもないヤツだと言われたら否定のしようがない。それでも何故か美しい。


野良猫に餌を与え世話をしている人。時には捕獲して、桜猫の処置をしたり里親探しまでしているようだ。多分それは無償の善意。猫好きというだけでは簡単に真似できない。ただ頭が下がる。しかし、それを睨みつける人がいるのも知っている。餌なんかやるから野良猫が増えて、あちらこちらに糞をする_そんな憎しみの籠る眼差しや表情だ。

以前住んでいたマンションはペット飼育不可。新築購入時から、それを承知で住んでいた。時が経つにつれ、住人は変わっていき、後から来た人の中には、犬や猫を飼っている人がいた。ペット飼育は規約違反という張り紙が掲示されるようになった。そのとおりなのだが、では犬や猫は、殺処分せよということなのか。犬や猫を連れて、直ちに何処かへ引っ越せということなのか。張り紙を見ながら、そんなことを考えた。


土用の丑の日だというと、立派な鰻屋の繁盛ぶりをニュースで流す。季節感を出すための、お決まりの映像なのだろう。しかし、一方では、絶滅危惧種だと言い、夏の鰻は、本当は美味くないという説を聞かされる。節分に恵方巻を食べなければ、クリスマスにケンタッキー・チキンを食べたりしない。それでも、立ち飲み屋で毎日、仕事終わりに瓶ビール一本、冷凍鰻半分を食べていた職人の顔を思い出す。店に入ってきて一言も喋らず、毎日、同じものを食べて飲んで、15分か20分。冬は鰻ではなく、おでんの大根と玉子の二品に変わる。鰻が絶滅危惧種だとしたり顔で言う人は、誰に向かって言っているのか。汗びっしょりで真っ黒に日焼けした男の顔を思い出しながら、そんなことを思う。


ベトナムに平和を。自由と平等。民主主義を守れ。そんな声を耳にして過ごしたが、それから50年。革新はいつの間にか古びて、保守が改革の旗印を上げる。まさかこんな世の中になるとは思わなかった。が、考えてみたら、あのときの風潮に乗った物言いは、どんな正しくても、嘘くさい響きがあった。声高に正論を振りかざしていても裏で何をやっているか知れたものではなかった。そこから、知識を軽視し、或いは敵視する今の風潮が生まれてきたのか。

こんなはずではなかった。そう思わずにはいられない。



傾いた陽射しの中で見るハルジオンとガラクタの類い。私の目には、ただ美しく哀しかった。



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